【短】チョコレート・キス
チョコレート・キス


俺は部屋の窓を開け、夜の空を眺めた。

手が届きそうなくらい近くにある一番星が、ちらちらと瞬く。


俺は、息を深く吸い込み、先の見えない空へ向かって吐いた。

肩の力が抜けると共に、息は白い煙へと変わり、闇夜へ消えた。


そして、俺は隣の家のベランダに目をやった。

4枚のベランダガラスの中は、真っ暗だ。


俺は星を見る振りをして、あいつを待っていた。


しばらくすると、まるで魔法のように、真っ暗だった部屋に明かりが灯った。

< 1 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop