【短】チョコレート・キス
チョコレート・キス
俺は部屋の窓を開け、夜の空を眺めた。
手が届きそうなくらい近くにある一番星が、ちらちらと瞬く。
俺は、息を深く吸い込み、先の見えない空へ向かって吐いた。
肩の力が抜けると共に、息は白い煙へと変わり、闇夜へ消えた。
そして、俺は隣の家のベランダに目をやった。
4枚のベランダガラスの中は、真っ暗だ。
俺は星を見る振りをして、あいつを待っていた。
しばらくすると、まるで魔法のように、真っ暗だった部屋に明かりが灯った。
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