美しい君の名を
「や、泣くかなーと思って」

「はぁぁ?!」


ますます声が低くなる。
ちょっと退く。


「泣くって何よ!あんた、そんな最低な理由でいきなり人のこと殴ってきたの?」


すごい剣幕だ。声も姿もこの上なく怒ってる。


「いや、殴ったんじゃなくて押しただけ」

「はぁっ?」

「こけたら泣くかなと思って。背中、殴ったんじゃくて、押した」


答えた瞬間、思いっきり右足を踏み付けられた。


「あんたとだけは駅のホームに立ちたくないわっ!」

鼓膜が破れるかと思うほどの金切り声で叫ぶと、頭突きをして去って行った。




なんで頭突き…。




足の先から頭のてっぺんまでがとてつもなく痛い。

あーぁ。
怒らせてしまった。

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