セツナイ視線。
午後九時すぎ。
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「有り難うございました~」店員の声が背中に聞こえる。
店から出るともう真っ暗。
あたりには仕事帰りの大人達が足早に家路を急いでいる。
「うぁ~歌いすぎたぁ」
「やべ~もうこんな時間かょ!!」
「ハル、らんよろしくね。したらまた~」
「あいよ~」
「またね~」
佳菜子と恭一は同じ方向なのでいつも一緒に帰る。
私とハルは駅までは一緒だけど逆方向。
なのにいつもハルは家まで送ってくれるんだ。