セツナイ視線。
3.羽鳥さん。
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「ぃぃか~お前ら~!この夏が勝負だぞ!」
先生が黒板をバンと叩いて熱弁する。
クラスの皆は聞いてるんだか聞いてないんだか分からないような顔でただ教科書で自分を仰いでいた。
ここ数日で、季節は一気に真夏に突入した。
グラウンドの砂は、ジリジリと太陽光に照らされ眩しく光っている。
雲は立体感を増し、真っ青な空にもくもくと存在していた。
「ぅあっち~…」
亮太と別れて一週間がたった。
ハルに背中を借りて大泣きしたからか、それほど引きずることもなかった。
たまに廊下で新しい彼女と歩いて居る時は、さすがに胸が痛んだけど。
それでもどこか、スッキリしている自分がいた。