セツナイ視線。




初めて話したのは入学式から二週間後にある春の宿泊研修の時。



その頃の私は、隣りのクラスだった亮太に片思い中だった。



私はこの宿泊研修中に亮太に想いを伝えようと思っていた。

でも男子からも女子からも人気者の亮太と、二人きりになるチャンスはなかなかめぐってこない。

私は結局最終日まで告白できないままでいた。


その日の夜。
皆夕食を食べ終え、友達の部屋に遊びに行ったり、温泉に入ったり、それぞれが自由時間を満喫していた。

私は佳菜子情報で、亮太は自分の部屋で友達とトランプをしていると聞き、一人で男子棟へ向かった。


…もうすぐ就寝時間になっちゃうからチャンスは今夜しかない。

この日の為に何回もシュミレーションした告白のセリフを頭に巡らせ、亮太達の居る部屋の前までたどり着いた。


中からは、わいわい談笑する声がする。

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