セツナイ視線。


うなだれて机に伏せると、背後から声をかけられた。

「三井さんどうかしたの?」

振り向くと羽鳥さんが心配そうな顔で立っていた。


「あ、羽鳥さん!う、ううんなんでもないよ!ちょっと昨日夜更かししただけ!」

とっさにごまかす私。

「あはは、そうなの?良かった。具合悪そうだったから」
目を三日月みたいに細めて笑う可愛い羽鳥さん。


「無理しないでね」


「うん、ありがとう!」


優しいなぁ羽鳥さん。

彼女のまとう雰囲気は、どこか人を癒すような所があるんだ。


私にも佳菜子にも、ない部分だね(笑)


きっと、今来たのは本当はハルのこと聞きたかったからなんだろうな。

羽鳥さんの話題でハルと喧嘩しました、なんて言えないしさ…。


「おーい座れ~。HRやるぞ~」
先生がだるそうに教室に入って来た。


こんなモヤモヤした状態で、一日授業なんか受けれないよ…。



私は携帯を取り出してハルへのメールを打った。



『直接謝りたい。次の一時間目抜けれる?もし抜けれたら、屋上で待ってます。』


また無神経だと思われちゃうようなメールだな。



私は不安な気持ちをふりはらうように、送信ボタンを押した。





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