セツナイ視線。
ズキンと心に痛みが走る。
ハルに体を支えられながら歩く羽鳥さんを見て、私は胸がざわめくような感覚を覚えた。
「あ、矢沢。俺次の授業遅れて行くから先生に伝えといて。」
ハルはクラスメイトにそう告げると、羽鳥さんの歩くテンポに合わせてゆっくりと出口へ向かう。
「お、おう了解!!」
私の前を横切る二人。
私が居ることに気付いているはずのハルは、一度もこっちを見なかった。
ドクン
ドクン
ドクン
二人が体育館から出て行くと、羽鳥さんと一緒に居た女子が、嬉しそうに騒ぎ出す。
「やっば!!超おいしい展開じゃない??」
「告白のチャンスだよこれは!!」
「明菜頑張って!!」
それを聞いて、名前のわからない感情が、込み上げてくる。
ついこの間まで、あの二人をくっつけさせようとしてたはずなのに。