セツナイ視線。
昼休みもそろそろ終わりそうだったので、私と佳菜子は教室へ戻ろうと、渡り廊下を歩いていた。
すると突然、
「あーあ。羽鳥さんにとられちゃったね。」
佳菜子が私の心を見抜くように言った。
「な、何言ってんの!?」
焦って動揺する私。
佳菜子は、はぁ~とため息をついて私を見つめた。
「あのね、らん。いい加減わかりなよ。あんたは自分の気持ちに鈍感すぎんのよ。それで失ってからその人の大切さに気付くタイプ。」
「え!」
佳菜子はいつになく真面目な表情だった。
「ハルと喧嘩したんでしょ。あんたら朝から会おうとしないし、かと思ったら二人で授業抜け出すし。恭一とメールでおかしいねって話してたの。」
…恭一も気付いてたんだ。
二人ともそれでも知らない振りしてくれてたんだね。
次の授業を屋上でさぼることに決めて、私は佳菜子にハルとの出来事、羽鳥さんの事を全部話した。
「…黙っててごめんね。言う機会もなくて、さ」
私は謝った。
「別にぃ~。あんたは隠し事すると全部顔に出るからね」
「うっ;確かに…」
人には興味ないような佳菜子だけど、ちゃんと私の事みてくれてるのね…。