新しい扉―長い長い片思いの結末―
司会の男子が話し始めて、みんなが一斉に静まり返った。
まだ先生と矢沢さんは一言も話していない。
微妙な距離。
「ねぇ、あの噂・・・違ったのかな?」
話しかけてくる友達に言う。
「ううん。多分・・・付き合ってる。私のこと・・・気にしてるんだよ」
友達は、そうかなぁと言いながら首をかしげた。
それから懐かしい写真がスライドに映し出されて、みんなで盛り上がった。
お酒を飲んでいる生徒もいるのに、先生はずっとオレンジジュースとウーロン茶だった。
私はスライドと先生を交互に見ていた。
そして、時々矢沢直を見た。
彼女の表情、彼女の視線。
先生が好きな相手のことは、気になるから。
どうして矢沢さんが悲しい顔をしているのか。
どうして笑顔の後に、すぐ下を向くのか。
そればかり考えていた。