新しい扉―長い長い片思いの結末―
先生の口から聞けて良かった。
『結婚するんだ』
みんなに言う前に話してくれたことが
私を少し前向きにさせてくれた。
先生を好きで良かったと心から思えたからこそ、新しい恋に進めるような気がした。
店に戻って、私は矢沢さんの元へと向かった。
「矢沢さん、いろいろごめんね。ありがとう。幸せになってね」
矢沢さんはとても驚いた顔をした。
その後、輝くような笑顔で頷き、私の手を握った。
「ありがとう。荒木さん、ごめんね」
「ううん。私こそごめんね。先生幸せそうで良かった」
先生は、その後みんなに「結婚」を報告した。
驚くくらい私の心は穏やかだった。
不思議だけど、
悔しいって気持ちは心の中から消えていた。