新しい扉―長い長い片思いの結末―
私は階段から降りてくる先生を見つけた。
「実はね、元カレって嘘なんだ。ただの私の片思い。相手にもされてないから安心して」
晃は何も言わずに車から降りて、私の肩に手を乗せた。
「アレだよ。あの茶色のセーターの人。私の担任だったんだ」
晃は私の肩から手を離すと、顔を突き出して先生をじっと見つめた。
「潤子ちゃん、面食い過ぎ。俺、勝てねーよ」
「勝ってよ。晃、私のこと好きなら先生以上の男になってよ!」
私に気付いた先生が軽く手を上げた。
私は先生を呼んだ。
矢沢さんと一緒に帰らないんだね、先生。
「先生!!」
「おう。お前はお迎え付きか?いいなぁ!」
隣で晃は頭を下げた。