【短】Eqeal
「あたしは普通の道を歩くって決めて、夢は捨てた。後悔なんてなかった……はずなのに…」


「なのに…?」


「直樹と大学で再会してしまった」


美羽はどんな気持ちで今話してる?

俺はどんな気持ちで聞けばいい?


知りたいのに、先を聞くのが…真実を知るのが怖い。




「びっくりしたよ、この年で夢は作曲家だなんて普通に言うんだもん。正直甘い考えだと最初は思った。でも真っ直ぐ将来を見つめてる直樹に…気付いたら惹かれてた」


髪をかきあげながら、少し微笑んだ美羽。


「付き合ってるときは、あたしも応援してた。お父さんみたいになる人ばっかじゃないって思ってたし。でもいつからか、素直に応援できなくなってた」


「俺に就活を勧めてたのも…?」


「……うん。あたしは普通の幸せが欲しかった」


初めて聞いた本音。

痛い…けど、まだここで終わらすわけにはいかない。
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