【短】Eqeal
「それより、美羽のコンクールいつ?」


「え?秘密。直樹くる気でしょ!?」


「当然」


「無理無理!!倍に緊張しちゃうじゃんっ」


美羽ほどの実力者が何を言うか。

俺なんか気にもとめねぇだろ?




「んじゃ、久々に聞かせて」


「うえ!?」


「白鳥の湖吹いて。チャイコフスキーな」


突然のことに嫌がりながらも、ホルンを構える美羽。

そして息を吹き込んだ。


昔と変わらない真剣な瞳。

滑らかな指の動き。


ただ、音は格段にレベルが上がっていた。

凛とした白鳥が優雅に湖を泳いでる。


"経験"これは大人の特権かもな。
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