【短】Eqeal
コンクールは流石に最終選考まで残った奴らだけあって、センスの塊ばっか。
美羽の順番になり、なぜか一般席にいる俺が緊張していた。
手に汗を握って、出てきた美羽を見守る。
そんな俺とは正反対に、美羽はあのキリッとした瞳を輝かせ…大きく息を吸い込んだ。
その音は、会場に響くどころか……
人々の心の中に入ってくる、美しく澄んだ音だった。
誰もが声をなくし、圧倒された。
課題曲さえも、今まで聞いたことのないメロディーを奏でている。
はは…やっぱ美羽はすげぇよ、大物だ。
この大舞台で全く緊張してねぇじゃん。
ブランクがなければ、今頃日本にはいねぇな。
けどいずれ、近い内にそうなるだろう。
うれしいような、寂しいような…。