【短】Eqeal
そして当然、最優秀賞は美羽。


また美羽がステージに上がっただけで沸き上がった観客の拍手が、どれほどの音だったかを証明する。


美羽は他の誰よりも、頭一つも二つも飛び抜けてた。

ライバルたちの笑顔でそれもまた、簡単に証明されてしまった。




すぐに記者たちに囲まれた美羽。

一気に美羽が遠くへ行ってしまった。


何かを得るためには、何かを犠牲にしないといけないときがある。


「海外留学の話があるの!!」


やっと美羽と二人きりになれた夜、俺はそれを痛感していた。


あれだけのことをしたのだから、当たり前な気もするけど。


「行くのか?」


「また今度、詳しく話聞きに行くつもり」


美羽がどれほどオケに憧れてるのかを知ってる俺は、引き止めることもできない。

こんなときはガキになって、わがままを言ってみたくなる…。
< 70 / 81 >

この作品をシェア

pagetop