天使の林檎
「桃先輩!」
私がキャンパスに筆を滑らせていると名前を呼ばれる。
彼女が彫刻に興味を持って残った1年生の卯月 由梨って子だった。
「今、ちょっといいですか?」
「うん、いいよ。何?」
「アドバイスお願いしたいんです」
そう言われて驚いた。
私は描く方だけで、彫刻には全然知識がない。
アドバイスを求められても的確な言葉を言える自信がなかった。
「彫刻なら筒井副部長の方がいいんじゃないの? 私あんまり詳しくないよ?」
「どうしても桃先輩に感想が聞きたいんですけどダメですか?」
上目使いにそう聞かれ、困ってしまう。
そんな顔されてダメなんて言えるわけがない。
「・・・いいよ。どれ?」
笑って立ち上がった。
「これなんです。もう少し優しい感じにしたいんですけど、全体に丸くしただけじゃ優しい感じがしないんですけどどう思いますか?」
彼女の作品は可愛い女の子だ。
幼稚園生ぐらいの女の子がモデルなのだろう。
ポメラニアンを抱き締めている。
まだ荒削りの状態でも、才能の片鱗は充分見てとれた。
部活に入って彫刻を始めてたって言っていたけど、とてもそうは思えないほど筋がいい。
「・・・ほっぺをもう少し丸くしてふんわりとした感じになるように心掛けて、目をもう少し下がり目にしたらどうかな?」
「あ、なるほど!」
納得してくれたのか、嬉しそうに笑って御礼を言ってくれた。
少しでも役に立てたのなら嬉しい。
私は自分の場所に戻ろうとして、突然諏訪君に話し掛けられた。
「堀口先輩、僕のも見てもらえませんか?」
「もちろんいいよ」
諏訪君にアドバイスを求められ、ちょっと安心する。
同じ絵なら大丈夫だからだ。
私がキャンパスに筆を滑らせていると名前を呼ばれる。
彼女が彫刻に興味を持って残った1年生の卯月 由梨って子だった。
「今、ちょっといいですか?」
「うん、いいよ。何?」
「アドバイスお願いしたいんです」
そう言われて驚いた。
私は描く方だけで、彫刻には全然知識がない。
アドバイスを求められても的確な言葉を言える自信がなかった。
「彫刻なら筒井副部長の方がいいんじゃないの? 私あんまり詳しくないよ?」
「どうしても桃先輩に感想が聞きたいんですけどダメですか?」
上目使いにそう聞かれ、困ってしまう。
そんな顔されてダメなんて言えるわけがない。
「・・・いいよ。どれ?」
笑って立ち上がった。
「これなんです。もう少し優しい感じにしたいんですけど、全体に丸くしただけじゃ優しい感じがしないんですけどどう思いますか?」
彼女の作品は可愛い女の子だ。
幼稚園生ぐらいの女の子がモデルなのだろう。
ポメラニアンを抱き締めている。
まだ荒削りの状態でも、才能の片鱗は充分見てとれた。
部活に入って彫刻を始めてたって言っていたけど、とてもそうは思えないほど筋がいい。
「・・・ほっぺをもう少し丸くしてふんわりとした感じになるように心掛けて、目をもう少し下がり目にしたらどうかな?」
「あ、なるほど!」
納得してくれたのか、嬉しそうに笑って御礼を言ってくれた。
少しでも役に立てたのなら嬉しい。
私は自分の場所に戻ろうとして、突然諏訪君に話し掛けられた。
「堀口先輩、僕のも見てもらえませんか?」
「もちろんいいよ」
諏訪君にアドバイスを求められ、ちょっと安心する。
同じ絵なら大丈夫だからだ。