天使の林檎
「・・・素敵なお店ですね」
「でしょ? 入り組んだ場所にあるからあまり知られてないんだけど、ここ、すごく美味しいんだよ」
このお店は迷子になって偶然見つけた場所だった。
夏の暑い日に迷って、喉が渇いたからと入ったのが最初だ。
内装はシンプルだけど、温かい家庭的な感じで落ち着く。
しかも、味も良くて、私の秘密の場所だ。
そう思っている場所なのに、何故か諏訪君を連れて来てしまった自分にほんの少しだけ戸惑う。
そんな自分を誤魔化すかのように、メニューを見なくても決まっていた私は、諏訪君にメニューを渡す。
「オススメはありますか?」
「コーヒーも美味しいけど、紅茶ならフルーティーバーがいいよ。私はここのパフェが1番好きなの!」
このお店のパフェはわりと大きい。
嬉しいことに、バナナやゼリー、フレークなんかを使って底上げしてなくて、最後までアイスが楽しめるのだ。
「・・・じゃあ、僕もパフェにします」
「どれにするの? 結構種類があるでしょう?」
「はい」
2人でメニューを覗き込むと、諏訪君の長い睫毛が柔らかそうな頬に影を落としていることに気づいた。
「諏訪君、睫毛長いね」
「はい?」
突然関係ないことを言い出した私に、諏訪君が少しだけ驚いた表情で顔を上げた。
「私、睫毛が短いから、毎日ビューラーで引っ張って伸ばしてるんだけど、全然伸びないの。あ、ビューラーってわかる?」
「・・・はい、わかります」
「早く伸びないかな」
私が睫毛を伸ばす振りをすると、諏訪君が笑った。
天使の微笑みと皆に言われている時のような笑みじゃない。
ごく普通の男の子が笑うような、あどけない笑顔。
「でしょ? 入り組んだ場所にあるからあまり知られてないんだけど、ここ、すごく美味しいんだよ」
このお店は迷子になって偶然見つけた場所だった。
夏の暑い日に迷って、喉が渇いたからと入ったのが最初だ。
内装はシンプルだけど、温かい家庭的な感じで落ち着く。
しかも、味も良くて、私の秘密の場所だ。
そう思っている場所なのに、何故か諏訪君を連れて来てしまった自分にほんの少しだけ戸惑う。
そんな自分を誤魔化すかのように、メニューを見なくても決まっていた私は、諏訪君にメニューを渡す。
「オススメはありますか?」
「コーヒーも美味しいけど、紅茶ならフルーティーバーがいいよ。私はここのパフェが1番好きなの!」
このお店のパフェはわりと大きい。
嬉しいことに、バナナやゼリー、フレークなんかを使って底上げしてなくて、最後までアイスが楽しめるのだ。
「・・・じゃあ、僕もパフェにします」
「どれにするの? 結構種類があるでしょう?」
「はい」
2人でメニューを覗き込むと、諏訪君の長い睫毛が柔らかそうな頬に影を落としていることに気づいた。
「諏訪君、睫毛長いね」
「はい?」
突然関係ないことを言い出した私に、諏訪君が少しだけ驚いた表情で顔を上げた。
「私、睫毛が短いから、毎日ビューラーで引っ張って伸ばしてるんだけど、全然伸びないの。あ、ビューラーってわかる?」
「・・・はい、わかります」
「早く伸びないかな」
私が睫毛を伸ばす振りをすると、諏訪君が笑った。
天使の微笑みと皆に言われている時のような笑みじゃない。
ごく普通の男の子が笑うような、あどけない笑顔。