天使の林檎
 私は、家から10分ぐらい歩いて駅に行く。
 そこで電車に乗って佐波駅で降りて、そこからバスに乗った場所にある佐波高校へ通っている。

 学校の制服はわりと可愛い。

 モスグリーンチェックのプリーツスカーとズボン。
 紺のブレザーの袖にはオレンジのラインが2本入っていて、金のボタンがダブルのブレザーをすっきりさせている。
 男子はフック型のネクタイ。
 女子はフック型のリボン。
 どちらもスカートと同じモスグリーンチェック。

 どこぞのブランドデザイナーのデザインとかで、意外と制服は好評だったりする。

 学校レベルは中の上。
 芸術とスポーツに力を入れている学校で、美術の顧問の先生の作品を見てこの学校に決めた。

 もちろん、所属部は美術部。

 レンブラントやフェルメールみたいな光と質感の表現に優れた画家が好きなのに、自分の作品はどちらかと言えば、モネのような印象派的なものが多い。
 何度か賞はもらっているけど、大賞とかじゃないから進路が決まらず将来を悩んでいる。

 ハッキリ言って、画家として食べていけるか自信がない。
 だからと言って、芸術をやめることも出来ない。

 こんな時、もっと強い人間になりたいと思う。

 ちゃんと自立して、何ものにも左右されず、真っ直ぐ立てる人間に憧れている。

 自分が胸張って、これだって言える特別な何かが欲しい。
 他人にもそれを認めて欲しい。
 有名にだってなりたい。

 でも、現実ってこんなもの。

 努力はしているけど、なんとなく中途半端。
 自分が不幸だなんて思ってないけど、もっと幸せになれるはずだとも考えてしまう。

 そして、そんなダサい自分に絶望してる。

 楽しいはずの高校生活。
 何の変化もなくて、何も変わってない。

 何にも考えなければ幸せでいられるのかな?




 ・・・・・・そう思っていた私。
 もしも過去に戻れるなら、そんな自分にハリセンの刑だね。

 人間平凡が1番です!




 ギブミー私の平和!

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