天使の林檎
「実はね、桃と通学時間が一緒なの。だから、学校に着くまで何度も桃を見かけていたんだけど、いつも友達といて楽しそうに笑っていたから、友達になりたいなぁ~って思ったんだ。だから、友達になってもらえてすごく嬉しい!」

 恥かしげも無く素直にそう言う彼女に、私は好意を感じた。
 本当にそう思っても、なかなか本当のことは恥かしくて言いずらいものだ。

「1年の時に仲良くなった友達とはクラスが別れちゃったの?」

 そう聞くと、友紀の表情が少し翳った。

「それもあるけど、私は友達だって思っていたのに彼女達は違ったみたい。私といると男の子と仲良くできるから友達のフリしてたの。私、そういう誠実じゃないの嫌いだから」
「・・・そ、そうなんだ」

 この言葉に対して、どうコメントすればいいのか判らなくて困る。

 確かに、これだけ美少女なら男子が寄ってくるだろう。
 でも、結局目的は友紀であって、そばにいる友達じゃない。
 そのせいで色々あったのかも・・・。

「だから、今度は自分から友達を作ることにしたの。そうすれば、自分の決めたことだから自分の見る目がなかったって諦めもつくでしょ?」

 にっこりと微笑まれたけど、私は笑えなかった。
 
 本人を前にして、そこまでハッキリ言うかな?
 つまり、私が友達に相応しくなかったら自分のせいだって思うってことでしょう?

 び、微妙。

「あ、ごめんね。変なこと言って、私、わりと毒舌みたい。でも陰でコソコソ言うタイプじゃないから、それは安心して?」
「・・・・・・」

 安心してと言われても、どこをどう安心すればいいのか困惑してしまう。
 まあ、物事はハッキリ言って貰った方が、いいけど。

 これまた微妙だな・・・。

 そう思っていると2人の女の子が友紀に話し掛けてきた。
 でも私は殆ど無視の状態。
 会話には入れない。

 つまり、アウト・オブ・眼中。

 私に対しては、露骨な態度である。

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