月の雫[七福神大戦録]
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陰の力の者は、強い想いをめぐらせていた。
もう、日が落ちた薄暗い道を歩きながら。
俺にとって、これはチャンスだ。
俺を、自分達の道具としか見ていない、世間体ばかり気にする親達にも……。
あの、何不自由なく育ち、ヘラヘラと生きているあの女にも。
俺が俺として生きて来た事は、一度たりともない。
だから今、遂に、神は俺の味方についたのだ。
俺に、立ち上がれと。
俺が俺自身である為に、戦えと。
俺は……
どんな手を使ってでも、偉大なる神の力を手に入れてみせる。
大きな洋風の、お屋敷の門に手を掛ける。
と、同時に、ドアが開いた。
ガチャ。
『お帰りなさいませ。宗助(ソウスケ)坊ちゃま』