月の雫[七福神大戦録]
――放課後。
みんなに時間を貰って、御堂君の教室に行った。
御堂君は既にいなくて、慌てて駆けおりた昇降口に、彼の姿を見つけると、間一髪で呼び止めた。
「あの!お昼はごめんなさい!!ちょっと、いろいろあったっていうか……。でも、御堂君の事が嫌になったとか、そういうのじゃなくて!朝もあんな事言ってたから、むしろ、御堂君の方が嫌になったんじゃないかなって……」
バサ!
「もう……いいよ」
鞄を落とした御堂君。そして、それと同時に私は強く抱きしめられていて。思わず瞳が大きく開く。
「……御堂君?」
「俺……そんな事、全然思ってないから。朝の事は、俺のたんなるヤキモチ……だよね。ごめん!俺、本気で咲が好きだから、さ」
誠実で、優しい彼の言葉は、私の胸に浸透していく。
私だって、気持ちはいつだって一つ。
「私も、御堂君が好き」
わかってると、言うように、御堂君は頷いて見せると、そっと顔を近付け、キスをした。
「――御堂君ごめんね。これから……」
「良いよ、あんま気にしなくて。じゃぁ、明日な」
「うん。じゃぁ、明日」
「あ、咲。これからは俺の事も、下の名前で、宗助(ソウスケ)って、呼んでくれないかな??」
「あ、そうだよね。また明日ね、……宗助」
「うん、明日」
私は、小さくなっていく彼の後ろ姿を、ずっと見つめていた。
ちゃんと、気持ちを伝えられて、何だか前よりラブラブになった気がする。そう思うと、自然に笑みがこぼれた。
「あ、やば!!こんな時間!!またアイツに怒鳴られる~!!」
私は、慌てて保健室に向かった。