月の雫[七福神大戦録]
「遅い!!どれだけ待たされたと、思っている」
保健室に入るなり、早速、怒りMAXの大黒天が、ずんがずんがと近づいて来る。
「ごめん!でも、ほら、ちゃんと戻って来たでしょ?」
そんなやり取りを見てか、恵比寿が笑う。
「フフフ。咲ちゃんも、コイツと同じクラスだなんて、ホント苦労が絶えないよね」
「あ、わかってくれます!?」
「あのなぁ……むしろ、こっちが迷惑かけられてるくらいだ。……で?結局、御堂とはどうなったんだ?」
「うん、ちゃんと思ってる事伝えられたよ。御堂君なら、ちゃんとわかってくれるって、安心出来たから。だから、今度はしっかり、みんなとやるべき事に取りくみます!!みんな、いろいろ迷惑かけて、本当にごめんなさい!!」
私はみんなに、深々と頭を下げた。
「顔をあげて下さい。みんな、咲さんの頑張りは認めていますよ?
稽古も日々精進していますしね。黒崎君はきっと、どっちも全力投球で、ボロボロになっている咲さんの姿が、見ていられなかったのだと思いますよ?口は悪いですが、あれでも咲さんの事を、とても心配していたのでしょう」
福禄寿の言葉に、私は思わず、あいつに視線を向ける。
大黒天は、何だかばつが悪そうに、そっぽを向いてしまった。
――なんだ。
あいつって、実はイイ奴なんだ。
そんな大黒天と目があって、私は思わず微笑んだ。