月の雫[七福神大戦録]
私はゆっくりと瞳を閉じ、大黒天に向けて強く想いを念じ、語りかける。
(大黒天、目を覚まして!!あんた神様なんでしょ!?こんな簡単に、心のっとられて、どうするのよ!!……私を守るって、約束したじゃない……あんたなんか……あんたなんか、こっちから願い下げよーッ!!)
「痛ッ!」
掴まれた腕に、力が込められる。さっきよりも、いっそう。
「それだけ言える、元気があるとはな」
そうギラつかせた瞳で私を見つめると、腕を思い切り引き寄せる。
「離しなさいよ!!」
「小娘、やはりお前は貴重な存在だ。そうやすやすと、死なせはしない。我と共に来るのだ」
「ちょ、いや!離して!!」
寿老人が、私を引きずるように歩き出した、その時――。
「何処へ行く?そいつを連れて良いと、誰が許した?」
私達の前に、大黒天が立ちふさがった。