月の雫[七福神大戦録]
は~、こんなにヒドい頭初めてだよぉ。
鏡に向かい、頑固な寝癖と格闘中の私。
『ねぇ、見た!?黒崎君!いつ見てもカッコイイよねぇ』
『見た見た!目が合っちゃった!ポーカーフェイスなとこが、またイイんだよねぇ!あ~あ、A組が良かったなぁ』
化粧直しにやって来た女子が、キャッキャと鏡に入って来た。
ん?
A組って、うちのクラスじゃない?
黒崎なんて名前の人は、いないんだけど……。
!!
私は、パタパタと教室に戻った。
「あ、あんたは……!!」
私の隣の席には、昨日会った4人組の変な男の1人が座っている。
紫色の髪をした、口を開けば嫌味を言う一番イラッとする奴。しかも、その姿は、まるで生徒に紛れるように制服を纏っている。
『ちょ、な、なんでいるのよ!?』
『いちいちウルサイ奴だなぁ。そんな大声を出さなくても、聞こえている』
仏頂面で、男はそう答えた。
『あの!私、言いませんから!宇宙人が侵略に来た事!』
『は?』
怪訝そうな顔をして、此方を見ている。
『だから、私を拉致して、人体実験を――』
『……お前、何か勘違いをしているな?何処からそんな発想が展開されるんだ』
男は、そう溜め息を漏らすと、ふと、真剣な瞳で私を見つめる。