†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~


「なっ…あ…あぁっ。」


ファレルの言葉にジークは驚き自らの記憶を辿った。
遠い記憶の淵の底に、彼は二人の少年の姿を見た。


「ああ…思い出した。思い出したぞ!あの日、俺は城を飛びだしてこの木の上に隠れていたんだ。その時にやはりこの木の下にやって来た金髪の少年と知り合い…。」

「そうだ。それが私だったのだよ。私達は互いの家族のことを語り笑い合い…最後に大人になったら共に魔都を守る騎士となることをこの木に誓った。」

ファレルは寂しげな表情を浮かべ、色素の薄い冷たく澄んだ青い瞳でジークの灰色の瞳を覗き込んだ。
その冷たい青い世界に飲み込まれそうになる錯覚を覚え、ジークは恐怖し後ずさった。




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