†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「…!」
その憎しみを秘めた表情に、ジークの口元は引き結ばれ緊張が全身を駆けめぐった。
「お前は何もわかっちゃいない。私に詫びるだと?そんな事、誰が望んでいると言った。私の望みはたった今絶たれた…。」
「ファレル…何を言っている!」
「こんなモノに私は、何年もの間希望を抱き続けてきたのだな…。」
ジークを無視したまま、ファレルは樫に近づくとその樹皮に右手を翳した。
そして、震える唇で呪文を唱えた。