†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
ハッハァ…ハァ…。


(もう少し…あの丘を越えれば僕の大好きな場所…グランマの木がある草原だ。)


彼は走った。


とにかく少しでも遠くへ行きたかった…。
あの牢獄のような家から離れる事が出来るなら彼は何処へでも行ける様な気がした。


(やっと…着いたぁ。)


サヤサヤ
サヤサヤ…

ファレルのグランマ…樫の木の巨木はそよ風に優しく緑の葉を揺らし大きく枝を広げ彼を出迎えてくれた。
グランマは、彼が物心ついた時から時々母の目を盗んで遊びに来る秘密の場所。
ファレルの唯一の隠れ家だった。
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