†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
ファレルの問いに、今度はチャールズが面食らう番だった。
彼はグランマの若葉を一枚千切ると、それを細い指先で弄びながら言葉を選びながら答えた。

「僕?…僕は魔法が使えないんだ。そんな僕の事を…父様は出来損ないって言うんだ。」

「…そんな事…酷いや。チャールズは辛くはないの?」

「うん。だって魔法の力は弟が引き継いでくれたから…それでいいかなって…今は思うんだ。」

チャールズはそう言うとニッコリと笑った。
その笑顔は穏やかで、暗い影は微塵もなかった。



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