†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「これは…!」
ランス団長は、椅子から立ち上がると息を呑み言葉を上擦らせながら額に汗を滲ませ驚いた表情で俺を見返した。
「まさか貴方があの御方だと言うのか?馬鹿な!そんなはずはない…あの御方は二月も前に身罷られたはず!盛大な国葬が行われ、未だ国中が喪に服している。それがどうして…。」
「…でも、これが真実なのです。国葬で王家の墓に葬られたあの棺の中は…空なのですよ。」
俺は、そう言うと申し訳なさそうに彼に微笑んだ。
「それでは、貴方が本物の西国魔都皇太子セザリオン・ロード・アウスレーゼ様!」
ランス団長はそう小さく叫ぶと、その場で姿勢を正し胸の前に右腕を掲げた。