†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「団長!その様なことはお止め下さい。」

俺は慌てて両手を振り、すっかり畏まっている彼に苦笑いをした。


「私は二月前に城を出奔し、王位継承権を放棄しました。この二月城下にいながら誰にも怪しまれず暮らしてゆけたのは、私が公務を嫌い政に一切顔を出さなかったことが幸いしていた為なのです。」

“生まれつき身体が弱く、国事に顔を出せぬ第一皇太子”の評判は俺にとっては良い隠れ蓑だった。
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