†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「ああ…行こう。皆で一緒に。」

俺達四人は顔を見合わせ静かに微笑んだ。


「それでは…。亡きランス団長に弔いの歌を捧げよう。」

ブレイドが、脇に置いてあった愛用のリュートを抱えると弦を爪弾いた。
シンと冷えた冬の空気を、澄んだ音色に乗ったブレイドの美声が溶かしてゆく。
俺達は、暫しの間死者を讃える歌に耳を傾けた。


リュートの旋律が最後の部分にさしかかろうとしたその時だった。

闇に響く恐ろしい悲鳴が、俺達の穏やかな時を一瞬で奪い去った。
< 68 / 145 >

この作品をシェア

pagetop