†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
「うん。」

答えたアルの表情は暗く沈んでいた。
彼の面は、血の気を失い唇は微かに震えている。
時の精霊は、憎悪と恐怖の思念が残るこの場所で起きた何を彼に伝えたのだろうか。

「どうした、アル…。」

シールズが、アルの両肩を掴み父譲りの碧眼で彼の顔をジッと見つめた。

「…ああ…シールズ。ルカさんを…彼を殺したのは…。」

アルが、やっとの思いで乾いた声を搾り出す。


「私だよ。…ふん!このお節介なヒヨっ子め!」

俺達の背後に聞き覚えのある冷たい声が響いた。
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