†赤髪の冒険者ジーク†~西国魔都魔道騎士団編~
ヒヒィィン
「おおっ!」
ジークは馬の嘶きに振り返ると、歓喜の笑みを満面に浮かべた。
(おお、三日月…そうか、ブレイド、お前が手綱を解いてくれたんだな。へへっ、なかなか気が利くじゃねぇか。)
蹄の音を響かせ、駆け寄ってくる愛馬「三日月」の手綱を捕らえると、彼は鞍に飛び乗った。
その乗り方は端から見ると相当荒々しいものであったが、人馬の関係を超越したような彼らには造作もないことであった。
「よーし三日月、あのつむじ風を追うぞ。ファレルを…奴を必ず捕まえてシールズの前に引きずり出すまで、俺はアイツを追い続けてやる。」
ジークは、雄々しく叫ぶと鐙を蹴り鞭を振るった。