━Holic━
prolog
逃げなくちゃ、いけなかったの。
煌びやかな光に包まれた夜の街を、瞳に涙を浮かべ走っていた。
助けてくれる人を求め、ただひたすら走っていた。
『―――妃紗(キサ)っ!!』
どうして、
振り返ってしまったんだろう?
わたしじゃなく、あの子を呼ぶ声に…
『俺のこと…憎んでいいよ?』
どうして、
見つけてくれたのが、あなただったんだろうね?
わたしたち、
一緒にいてはいけないのに
愛し合ってはいけないのに…
わかっていながら、溺れていくの…