━Holic━
赤と青の夜
━━亜海━━
青い夜だった。
カ-テンを引いていない窓から、薄い月明かりが私を照らす。
孤独感がよりいっそう強く募るほど、綺麗な青い夜だった。
銀色の薄い刃。
肌に滑らせれば、すーっと滲む1本の細い赤。
ゆっくりと目を瞑る。
肌を伝う生温かい感覚に、なぜか生きているということを実感できるの。
同時に浮かぶ、あの人の笑顔。隣で同じように笑っているのは彼女。
私が…ほしくてほしくてたまらない居場所。
なんであの人なんだろう?
どうして私じゃだめなんだろう?
彼女がいるのに、なんで諦められないんだろう?
どうして…っ?!
中身が、心が痛いと叫ぶから、外を傷つけ紛らわせる。
でもいつからか、重なる傷に痛みも感じなくなってしまった。おかしいでしょ?麻痺しているの。
もう正常じゃない。
生きている感覚さえ、いずれは狂っていきそうで怖い。
心はずっと…痛いままなのに。