━Holic━
「…あっ、そういや今何時だろ?」
動揺を隠すようにわたしはわざと明るく言い、シイヤから離れた。
静かだった部屋の時間も動き出す。
「んーと…12時」
「あっ12時ね。そっかそっか12時なのか、今はじゅうに…」
じ ゅ う に じ…?
「えっえぇえー!…うそ、うそでしょーっ!」
「妃憂うるさっ…」
「学校が…」
眉を顰め耳を塞ぐシイヤの横で、呆然とするわたし。
確かにね、寝たのが朝だったから7時までに起きれる自信は全くなくて。遅刻していく気満々でしたよ。それでもせめて、目覚めるのは9時くらいの予定だったわけで…。
「どうしよ…遅刻回数そろそろやばいって忠告されたばっかなのに…!」
顔からサアーッと血の気が引いていく。
今回はかなりやばいぞ。完璧遅刻。いや、もうこれ遅刻どころじゃない気がする。確か…たいした用事もないのに12時過ぎて登校したら、欠席と見なされるんじゃなかったっけ?
「だーかーら寝とけっつったじゃん。で、どうすんの?社長出勤すんの?」
「…もういいや。諦める。わたし、どうせ今行っても欠席扱いだもん…」
「へぇ、ずいぶん厳しいのなーお前の学校って」
項垂れるわたしを横目に、シイヤは他人事みたいにあっさりしている。
そりゃ、確かに他人事だけどさあ…!