━Holic━


「…あっ、そういや今何時だろ?」


動揺を隠すようにわたしはわざと明るく言い、シイヤから離れた。

静かだった部屋の時間も動き出す。



「んーと…12時」

「あっ12時ね。そっかそっか12時なのか、今はじゅうに…」



じ ゅ う に じ…?




「えっえぇえー!…うそ、うそでしょーっ!」

「妃憂うるさっ…」

「学校が…」



眉を顰め耳を塞ぐシイヤの横で、呆然とするわたし。

確かにね、寝たのが朝だったから7時までに起きれる自信は全くなくて。遅刻していく気満々でしたよ。それでもせめて、目覚めるのは9時くらいの予定だったわけで…。




「どうしよ…遅刻回数そろそろやばいって忠告されたばっかなのに…!」


顔からサアーッと血の気が引いていく。

今回はかなりやばいぞ。完璧遅刻。いや、もうこれ遅刻どころじゃない気がする。確か…たいした用事もないのに12時過ぎて登校したら、欠席と見なされるんじゃなかったっけ?




「だーかーら寝とけっつったじゃん。で、どうすんの?社長出勤すんの?」

「…もういいや。諦める。わたし、どうせ今行っても欠席扱いだもん…」

「へぇ、ずいぶん厳しいのなーお前の学校って」



項垂れるわたしを横目に、シイヤは他人事みたいにあっさりしている。

そりゃ、確かに他人事だけどさあ…!



< 21 / 46 >

この作品をシェア

pagetop