去り行く明日へ《短》
何の為に生きてきたんだろうか
瞼の裏にちらつく閃光
ぎゅっと閉じた瞳に熱いものがこみあげ、
薄く開いた瞳に映し出された目の前の光景が、ゆらゆらと滲む。
何の為に生まれてきたのだろうか
人を殺す為か
友が撃たれるのを目の前で見る為か
赤ん坊の、女の、老人の、子供の叫び声を、きくためか
このまま、ここで果てるためか。
妻が、待っているのだ。
私の家族が。
私の唯一の家族が。
まだ逝くべきではない
約束を果たさなければ
生きて帰らなければ
私は、こんなところで、寝ている場合ではないのだ