去り行く明日へ《短》
それが、まだ幼かった私たちに突きつけられた、彼らからの命令でした。
いつ死ぬか分からない、そんな状況で震えていた私たちに、彼らは何の感情も見せずに言い放ちました。
奴らに殺されたくなければ、と
お国のため、と
そんな言葉がきこえてきましたが
私にとっての国は、この土地であり、私の家族なのです。
私たちが、何をしたというのですか。
母親が子供を、
兄が妹を、
さびた剃刀で、農具で、手榴弾で
次々と
次々と。
いったい誰が、あのような地獄を、望んだというのですか。
私は、あの忌まわしい戦争で、兄弟を失い、両親を失い、友人を失いました。
返してください。
返してください。
多くの尊い命から奪った幸せを。
失われた時間を。
もう還らない、還らない明日を。