去り行く明日へ《短》
手の中に握り締めた手榴弾は、僕の手には大きすぎて、気を抜けば落っこちてしまいそうだった。
でも、それじゃあだめだ。
兵隊さんに怒られちゃう。
母さんだって、これを投げれば綺麗な世界にいけるんだって言ってたんだ。
そうだよね、母さん。
でも、ほんとは母さんと一緒に、その世界に行きたかったんだ。
お母さんはいんちきだよ。
先に行ってしまうんだもの。
でももう僕だって行けるんだよ。
だから待っててね、今 行くから。