あたしの豹変執事
悔しくて悔しくて、腹立ってるのに、悲しくて・・・・・。
あたしは拳を握りしめていた。



「それよりさ、今日ってバレンタインデーだろ?」
「うん。そうだけどどうかしたの?」

高坂さんはいかにもめんどくさそうな態度で言い放った。
「俺のバイトしてた家のガキが毎年まずいチョコ作ってきてさ。俺も金もらって相手してんだから笑顔作んなきゃいけなくてさー本当嫌だったわー。」
「まじ?きもいね。」
笑いながら言った。


「でも食いたくもなかったから全部俺の連れにあげたんだけどさ。」
「あはは!まじかわいそー!!」

女は下品に笑った。


嘘・・・高坂さんはそんなこと言うような人じゃない・・・・!!


もうあたしの目には涙が浮かんでいた。
苛立ちと悲しみと絶望であたしはただ呆然としていた。


「その子がもしあたし達ができちゃった結婚だって知ったらどうなっちゃうんだろうね?」
「本当、危なかったよなー。」


もうあたしには最後まで聞こえなかった。




< 15 / 21 >

この作品をシェア

pagetop