そよ風とともに
祐司おじさんは
「美咲ちゃん 下ばっかり向いて 生きていくのはしんどいぞ。俺たちも渉も 誰も美咲ちゃんを責めたりしないさ。逆にもっと甘えていんだょ。これからは近くにみんないる。俺たち良に頼まれてるし まぁ良に頼まれなくたって 美咲ちゃんの力になりたいんだょ。」

そう言って優しく頭を撫でてくれた


その手が温かくて心の中の氷山が溶けていくようだった。

「ありがとうございます。」

「よそよそしいなぁ~俺たちを親だと思ってくれょ。あっ、仕事電車通勤だったよな?ここにある自転車で好きなもの選んで」

私は店内ぐる~っとみわたして 一台の自転車に目が止まった。

「あれがいいな」

私が指差したのは メタリックブルーのボディカラーに藤のカゴのついた自転車

「よし わかった。明日から使えるようにしとくから」

目尻をしわくちゃにして微笑んでくれた。


「チャリンコも決まったことだし 出かけるか?」

陸が肩に手をかけながら言ってきた。

ん?次はどこ?

不思議に思って顔を見上げていたら

「車回してくるから ちょっと待ってな」

肩にかけた手を今度は頭にのっけて ニッコリ


何故か安心してしまう…この笑顔
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