WELT 〜時の涙〜
掠れゆく視力の中、ミューラは200年という長い時間の末にようやく出会えた兄の頬を触ろうと、力なく震える手をのばす。
「……兄さま……独りに…すること……ごめんな…………」
ぱたり、と手が地に崩れ落ちる。
アストルは声をかければ瞳を開けそうな穏やかな表情で眠るまだぬくもりの残るミューラを抱きしめるように顔を埋め、そして声を殺し、肩を震わせていた。
やがて弟の亡骸をそっと地面に横たえると、立ち上がりルークの方を見る。
「……この戦争は私の負けだ。そしてどうか…弟を頼みます」
アストルは深々とルークに頭を下げるとその身を翻し自軍の方へと戻って行き、軍を撤退させた。
「……兄さま……独りに…すること……ごめんな…………」
ぱたり、と手が地に崩れ落ちる。
アストルは声をかければ瞳を開けそうな穏やかな表情で眠るまだぬくもりの残るミューラを抱きしめるように顔を埋め、そして声を殺し、肩を震わせていた。
やがて弟の亡骸をそっと地面に横たえると、立ち上がりルークの方を見る。
「……この戦争は私の負けだ。そしてどうか…弟を頼みます」
アストルは深々とルークに頭を下げるとその身を翻し自軍の方へと戻って行き、軍を撤退させた。