snow×white
美嘉さんというのはあたしの男友達のお姉さん。

歳は6コ上だが、なぜか波長が合ってとてもかわいがってもらっていた。

今は近くの美容室で美容師をしているので、学生で慢性的に金欠のあたしはカットモデルを自ら買って出て、ときどきタダでカットしてもらっている。


今日はそんな美嘉さんの誘いで、とあるバンドのライブを観るために駅から10分ほど歩いたところにあるライブハウスにやってきたのだ。



「まぁそう言わずに1回見とけって。」


そう言いながら美嘉さんは入口脇にある鉄製の階段を上り、

『STAFF ONLY』

と書かれたドアを開けた。


中は狭い廊下になっており右側にいくつかのドアが並んでいる。



「ここ、ここ!!」

コンコン。 

ガチャ。
 
「おはようございま~す!!」



美嘉さんは1番手前のドアを指さすと、慣れた一連の動作でさっさと中に入ってしまった。


そっか、こういうときは朝じゃなくても

「おはようございます」

って言うんだ。



「…おはようございまーす。」

1歩遅れてあたしも中に入った。







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