透明図
鐘の音が朝礼の始まりを告げ、いつも通り遅れて担任の高橋が出欠を確認するためにやってきた。

そして鐘の音が朝礼の終わりを告げ、いつも通り遅れて藤橋ユウヤが担任に謝るためにやってきた。

「藤橋、心配すんな。一週間ぐらい遅刻したからって進級できなくなるわけじゃないんだ。」

いつも通り高橋が、どうにもならない気休めをかけると、高橋は藤橋ユウヤに気を止めずにでていった。

大袈裟に泣き言を言いながら藤橋ユウヤは席に着く。
そんな藤橋ユウヤを、悪く思う人はあまりいない。

わざと遅刻する所も含めて、彼なりにクラスに溶け込むための演技なのだろう。私にはよくわかった。

藤橋ユウヤの、心の設計図は…。
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