透明図
私は目を見張った。

もちろんそれは、サバのような設計図がおいしそうに見えたからではない。

人間以外から心の設計図が見えたのは初めてだからだ。

今までもいくつか動物から設計図が見えないかと試したことがある。

でも見えなかった。私はそういうものだとあきらめていた。

そうなんだぁ、ネコってサバのことばかり…。

新鮮な驚きだった。

気付いたらネコは顔を上げ、まっすぐに私を見ていた。

そして言ったのだ。

「オイラ、腹減ってこまってんだよ。」

私は辺りを見回したが、そこには私以外の誰も居なかった。

その言葉は、明らかに私に向けられていたのだ。
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