透明図
「ねぇアンタ、まさか私の言葉わかるの?」

ノラネコは、何も言わない。

何も言いはしないが、私に頭をこすりつけてくる。

その姿が、たまらなくわざとらしい。

こうゆう相手には…。

私は、立ち上がった。そしてノラネコには目もくれないようにして、自転車に寄り付いた。

その後をやっぱりそいつがついてくる。

私は構わず自転車にまたがった。そして聞いたのだ。ネコが慌てて私を止める声を。
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