透明図
ノラが、サバの皮まで平らげてしまうと、何本かの小骨だけが残った。

私は犬が間違って飲み込んだりしないようそれを拾っておいた。

さすがに骨まで食べなよとは言えないな、私もサバの皮なんて食べられないし。

私がしゃがんで背をかがめていると、ノラが飛び乗ってきた。小さな爪がささる。

「ちょっ、ちょっと痛いよノラ!」

「ゴメンゴメン」

爪は引っ込めてくれるけど、もう子猫とは言えないノラの体重は少し重かった。

ノラは私に乗ると、天を仰いで一際甘えた声でミャーと鳴いた。

私が小骨を拾い終わって立ち上がると、ノラはさっと飛び降りた。
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