透明図
ひまわりが花を咲かせる方向に目を向けると、まだ春だというのに、ぎらぎら夏の輝きを放っていた。

私は、自分の汗をハンカチで拭くとポケットの中をまさぐった。

洋菓子が、ふにゃふにゃと袋の中でとろけていて少しだけ、げんなりした。

ガラスごしの光線は、なぜか直にあたるより力強さを増してしまう。

昼下がり、私はもう一度藤橋ユウヤと話せないかと機を伺っていたけど、なかなか男子と秘密の話をするのは難しいんだなぁ、と改めて思った。

藤橋ユウヤは、いつも誰かと一緒にいる。

彼はか弱いのだ。

私も私であんまり代わり映えしない状況にいる。

私も同じ、か弱い存在なのだ。

私は、いつものように話しかけるきっかけを見つけられないでいる。

かと言って、噂好きの誰かにオヒレのついた話を作らせられるほどの勇気も無くて。

私はそんなことを思いながら、みんなと教室でお昼を食べていた。

今日も藤橋ユウヤの心は、真っ暗に沈んでいるものを持っていたが、いつものような恐怖感には駆られなかった。

これは、私の中の進歩なのだろうか?
< 50 / 83 >

この作品をシェア

pagetop