透明図
五月晴れ、空高く、私は春の日差しを想う。

午後の授業の合間、私は窓の外を眺めながら、なんとなく句を読んでみた。

そして読んでみて自分の句が五七五になっていないことに気付いた。

これじゃ俳句とは呼べないな。

少しがっかりしたけど、五五七七になっていたので、中に一つ七をいれて短歌にしてみようと思った。

なんだかキレイな言葉ばかりがならんで味気無く感じたので、少しばかり暗めの言葉を入れてみようと思うが、いまいち思い付かない。

私はがっかりして一つため息をついた。

そしてもう一度、句を読んだ。

五月晴れ、ため息ついて、空高く、私は春の日差しを想う。

こんな感じかな。

私は少しだけ満足した。

その日の学校は、そんな感じでのんびり終わった。

結局私は今日一日、学校で藤橋ユウヤと話をする機会はなかった。
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