水中鉄道の夜2-終着駅-
「はい、どうぞ」

 その言葉とともに小さなガラステーブルの上に、カレーが2つ置かれる。
 覗きこむとカレーは赤い色をしていた。

「赤い・・・」
「そりゃそうよ、枝実さん特製レッドカレーだもの」

 俺の前に座り、枝実さんは麦茶をコップに注いでいた。

 赤い色をしたカレーなんて少し躊躇いはあるものの、カレー独特のスパイシーな香りに食欲がそそられる。
 見た目は珍しいが、味は安心できそうだ。

「さ、トール君食べてみて」
「あ、はい、いただきます」

 枝実サンの温かな微笑みにつられ、俺はスプーンを手に取った・・・・・・。

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